あなたは「海をイメージしてみて」と言われたとき、どのような海を想像しますか。

  • 青い空、広い海?
  • スキューバダイビングやサーフィンなどのマリンスポーツ?
  • それとも、サザンオールスターズ?

ロマンチックな夜の海を想像する方もいるかもしれませんね。

ですが、これからお話しする「深海」という世界は、私たち人間が楽しむ海とは全く別の姿をしています。

海は水深200mを超えると、太陽の光が海面の1,000分の1ほどしか届かなくなり、水深1,000m付近では100兆分の1になってしまいます。

そして、それを超えるとほとんど光はなくなり、漆黒の闇に包まれた世界へと変わります。

水深1,000mでもとても深く感じますが、そこはまだ深海の入り口にすぎません。

なぜなら深海の一番深い場所は、その10倍もの深さがあるのです。

もともと深海に興味がある方、今日初めて深海に興味をもった方、たくさんの人に深海の魅力をお伝えできれば幸いです。

深海の定義は?深さ何メートルから?

そもそも深さ何メートルからが「深海」と呼ばれるようになるのでしょう。

明確な定義があるというわけではありませんが、深海とは一般的に、植物プランクトンが光合成できる限界とされている水深200m以上の深い海のことをさします。

私たちの住んでいる地球という星は水の惑星とも言われており、地球の表面積の約70%が海でおおわれています。

そんな地球の7割をも占めている海の95%は、水深200mよりも深い深海なのです。

つまり、海のほとんどが深海ということになりますね。

深海はいくつかの層に分かれており、深度によって以下のように区分されています。

水深 名称
~200m 表層(ひょうそう)
200~1,000m 中深層(ちゅうしんそう)
1,000~3,000m 漸深層(ぜんしんそう)
3,000~6,000m 深海層(しんかいそう)
6,000m~ 超深海層(ちょうしんかいそう)

世界で最も深い場所「マリアナ海溝チャレンジャー海淵」

皆さんは世界で最も深い場所を知っていますか?

世界で最も深い場所は、グアム島から約320㎞南西に進んだ場所にあるマリアナ海溝チャレンジャー海淵です。

マリアナ海溝チャレンジャー海淵
出典:Wikipedia



私は前述したように『水深1,000mは深海の入り口にすぎない』と言いました。

では、マリアナ海溝チャレンジャー海淵はどれほどの深さがあるのでしょう。

マリアナ海溝チャレンジャー海淵は、水深10,911m(誤差あり)!

これは世界一高い山であるエベレストが簡単に沈んでしまうほどの深さで、日本の山で例えるなら富士山が3つも沈んでしまう深さなのです。

地上でいうと飛行機が空高く飛ぶほどの高さになりますので、ものすごく深いということがわかります。

深すぎて想像するだけでゾワっとしちゃいますね(笑)

ダイグンソクダイグンソク

ちなみに、このマリアナ海溝はとても広く、北の端は日本の小笠原諸島の端まで広がっているので、僕たちは意外と身近な場所に潜んでいるヨ。

深海の水圧や水温はどのくらい?

深海はとても過酷な世界であり、深海調査をするにはたくさんの困難が待ち受けています。

そのひとつが、深海のとてつもない水圧です。

水圧とは簡単に言えば水の重さのことで、水圧は10m潜るごとに1気圧ずつ増えていきます。

一般的に深海とされる水深200m付近では20気圧になり、1平方センチメートルあたり約20㎏の圧力がかかることになります。

小指の先に20㎏の子どもが乗っているほどの圧力と考えれば、少しはわかりやすいでしょうか。

さらに深海では、この水圧が上下左右すべての方向からかかってくるので、私たち人間のように身体に空気が入っているものは一瞬にして潰されてしまいます。

水圧で潰れたカップ麺
出典:JAMSTEC



この写真はJAMSTEC(海洋研究開発機構)が、実験装置で水圧の実験をしたものです。

水深6,500mでは、カップ麺の容器が原寸と比べてとても小さくなっていて、深海の水圧の恐ろしさが一目でわかりますね。

また、深海は水温もとても低く冷たい世界です。

水深200m辺りまでの水温はだいたい10~20℃ですが、水深が深くなるにつれて緩やかに水温が下がり、水深1,000m地点で2~4℃、それより深い場所では海域により多少差があるものの、ほぼ一定の水温を保っています。

深海は暗いだけでなく、水圧が高く水温が低い。

さらに食べ物も非常に少ないとても過酷な世界ゆえに「宇宙よりも謎に満ちた場所」と言われています。

そんな深海には生物は存在しないと考えられていましたが、深海の調査が進むにつれ様々な生物が暮らしていることがわかってきたのです。

深海の調査は簡単なことではありません。

深海の水圧、水温に耐えられるとても頑丈な船が必要になります。

深海の調査についてはこちら

深海でも音は聞こえる?どんな音?

一昔前まで、深海は静寂に包まれた何も聞こえない世界だと考えられていました。

今は深海の調査も進み、深海では様々な音が聞こえるということがわかっています。

深海生物は振動する音で連絡を取り合い、獲物や物体の位置を確認していると言われているので、深海で生きていくために音はとても大切なのです。

そんな深海の音を聞くことができる動画を、アメリカ・カリフォルニア州モントレー湾の海洋研究所がライブ配信して話題になりました。


この動画は、モントレー湾の水深900m付近の海の音と、そのスペクトログラムを示したものです。

デメニギッスデメニギッス

スペクトログラムとは、様々な音を音響分析によって周波数・時間・信号成分の強さの三次元で表示した記録図のことッス。

よくわからないという方は、とりあえず音だけ聞いてみましょう(笑)

海底に響く海洋生物の声、海面をたたく雨や風の音。

深海生物の気分になって聞いてみると面白いかもしれませんよ。

深海の巨大生物の可能性!?Bloop(ブループ)とは?

深海に興味がある人の多くが、『深海にはまだまだ見たことのない生物が存在するのではないか?』と考えていると思います。

例えば、超巨大生物とか…

そんな事を考えている方がワクワクしちゃうような話題を、ここでひとつご紹介したいと思います。

皆さんは「Bloop(ブループ)」って聞いたことありますか?

メンディーメンディー

Bloopとは、1997年にアメリカ海洋大気庁が発見した発生原因不明の低周波音波なんダコ。

この音は南緯50度、西経100度付近のどこかで鳴っているのではないかとされており、時々、アメリカ海軍の水中固定聴音機を用いた海洋監視システムSOSUSで感知されています。

Bloopには、人の聴覚では聞き取ることのできない超低周波も含まれており、とても強い音であるそうです。

この音に対してアメリカ海洋大気庁のクリストファー・フォックス(Christopher Fox)は、

『この音が爆弾や潜水艦などによる人工音であるとも思えないし、火山や地震のような自然現象による音とも思えない。もしかしたら南極の氷が崩落した時の音かもしれない』
と考えているそうですが、どちらかといえば生物が発生させる音に似ていると言われています。

もしもBloopの音の正体が生物であった場合、今現在確認されている地球上で最大の生き物「シロナガスクジラ」よりも巨大な生物が存在するということになります。

Bloopが生物によるものであれば、声の持ち主の大きさはなんと100m以上…

イメージはこんな感じです!

ブループのイメージ

深海マニアの私はもう、考えただけでワクワクが止まりません(笑)

まとめ

いかかでしたでしょうか?深海の特徴をおさらいしてみましょう。

  • 海の95%は深海であり、最も深い場所は水深10,911m!
  • 深海は暗く、水圧が高く、水が冷たい!
  • 未知なる巨大生物が潜んでいるかも?というロマンがある!

まだまだ多くの謎がある深海の世界。

当サイトを通じて、少しでも深海について興味をもっていただけたら嬉しいです。

他にも様々な深海の生き物をご紹介していますので、興味のある方は是非覗いてみてくださいね。