深海には奇妙で不思議な深海生物が数多く存在しています。

ここでは、深海生物の中でも珍しいと言われている生物たちをご紹介したいと思います。

「メガマウス」
メガマウスはその名の通り、とても大きな口をもつサメです。
1976年にハワイのオアフ島沖で発見されてから、現在までたった60匹ほどしか目撃されておらず、その中の3分の1が日本近海で見つかっています。
水深200m付近のやや浅い深海に生息しており、大きな口で小さなプランクトンなどを食べます。
迫力のある見た目ですが、性格はおとなしいと言われています。

「シーラカンス」
シーラカンスは、約6500万年前の白亜紀の終わりまでに絶滅した古代魚だと考えられてきましたが、1938年に南アフリカで発見されました。
現在では「生きた化石」として、多くの人に知られています。

「コンドロクラディア・リラ」
まるで楽器のハープのような姿をした海綿動物です。
中央から横に1~6本の枝がまっすぐのびていて、それぞれから大小様々な長さの枝がたくさん上にのびている奇妙な姿をしています。
水深3300メートル付近の深い深海で2000年に発見された新種の海綿動物で、詳しい生態などはまだわかっていないようです。
また、最近になって「タテゴトカイメン」という和名がつけられました。

「スティギオメデューサ・ギガンティア」
深海には巨大生物が多く存在しています。
その中でも無脊椎動物の中で最大級と言われているのが、このスティギオメデューサ・ギガンティアです。
かさの直径だけで1mもあり、全長は約7mほどになると考えられています。
他のクラゲとは違い触手が4本しかなく、その触手は長く幅が広いのが特徴です。
1900年に発見されて以来、現在まで100回あまりしか目撃されていないため、詳しい生態などはあまりわかっていません。

「リュウグウノツカイ」
リュウグウノツカイといえば、とても長い体が特徴的で深海魚の中でも知っているという方が多いのではないでしょうか。
アメリカやメキシコ、日本の海岸にも打ち上げられることがあり、度々ニュースにもなっていますが、水中を泳いでいる姿はほとんど目撃されていない幻の魚です。
その幻想的な姿から、昔話の浦島太郎に出てくる「竜宮城」から「竜宮の使い」という名が付けられたと言われています。

「ゾウギンザメ」
ゾウギンザメは、「吻」という器官がゾウの鼻のように飛び出している深海魚です。
この「吻」という器官を使ってエサから出るわずかな電気を感じ取ることができます。
脊椎動物の中で最も進化のスピードが遅く、4億年も前から姿が変わっていないと言われています。

「ダルマザメ」
ダルマザメは、別名クッキーカッターシャークとも呼ばれている深海のサメです。
目がくりくりで、体長も30~50㎝と小さめなので可愛らしい印象を受けますが、自分よりはるかに大きいクジラやサメまで捕食する、とても恐ろしいサメなんです。
ダルマザメの別名であるクッキーカッターシャークは、ダルマザメの捕食方法が由来となっており、ダルマザメに捕食された生物にはクッキーカッターで型をくり抜いたような跡が残っています。

「ラブカ」
原始的なサメの特徴をよく残していることから、シーラカンス同様「生きた化石」と呼ばれています。
体型は細長い円筒型をしており、その見た目から「ウナギザメ」ともいわれています。
まれに底曵き網や底延縄で混獲され、水族館で個体が展示されますが、数日で死亡してしまう事例がほとんどです。
数が少なく、比較的深い場所に生息しているため、観察が難しいとされています。

「コウモリダコ」
恐ろし気な見た目から「地獄の吸血イカ」という異名を持っていますが、実はおとなしく、主食はマリンスノー(プランクトンの遺骸など)です。
コウモリダコは実際にはイカでもタコでもなく、それらが種として分化する以前に存在した祖形を継承している現生種であると考えられています。
危険を感じると、8本の腕を膜ごと裏返して体全体を包み込み、トゲトゲのボールのような姿になって身を守ります。

「ウロコフネタマガイ」
ウロコフネタマガイは、2001年にインド洋の深海にある熱水噴出孔で発見されました。
「硫化鉄」という黒い鉄でおおわれた足をもっており、殻にも金属が含まれていて磁石にもくっついてしまうという不思議な生き物です。
深海の生物相調査は世界各国で行われていますが、今のところインド洋の熱水噴出域からしか発見されていない、とても希少な生物です。
また、「スケーリーフット(うろこのあるあし)」とも呼ばれています。