ピンク色のブヨブヨとした皮膚に、やる気のないおじさんのような顔
深海生物のキモカワイイ代表といえば、この「ブロブフィッシュ」ではないでしょうか。
ブロブフィッシュ(Blobfish)は英名で、和名ではニュウドウカジカと呼ばれています。
その名になった由来は、顔がまるで昔話に出てくるお坊さん(入道)に似ていることからだと言われています。
ブロブフィッシュのほうが流通していると思いますので、ここでは「ブロブフィッシュ」で統一させていただきますね。
イギリスの「醜い動物保存協会(Ugly Animal Preservation Society)」という団体が新マスコットを決めるための投票を行い、世界で最も醜い生き物第一位に選ばれたことで注目を集め、ブロブフィッシュの名前が一気に広まりました。
そんな不名誉な称号を冠するブロブフィッシュですが、最近は「キモカワイイ」ではなく「かわいい」深海魚としても人気があります。
ブロブフィッシュの生態と特徴について
ブロブフィッシュは脊索動物門(せきさくどうぶつもん)カサゴ目ウラナイカジカ科ウラナイカジカ属に分類される深海魚です。
主にオーストラリアや、タスマニア島からニュージーランドまでの海域の水深800~2800mに生息しています。
最近では日本でも発見されており、北海道の海ではたまに捕れるそうです。
ウラナイカジカ属に分類されている魚はウラナイカジカ、トサカジカ、クマノカジカなど、現在11種類います。
ブロブフィッシュはその中でも大きいとされ、体長30㎝前後もあります。
意外にも大きいのですね。
ブロブフィッシュといえば、下の写真のような姿が有名ですよね。
どうですか、この困ったようなおじさん顔。
本当に不思議な見た目をしていますよね。
ですが、深海にいる時のブロブフィッシュはこのような姿はしていないのです。
深海ではナマズのようなおたまじゃくしのような姿をしており、ウロコはなくブヨブヨとした皮膚でおおわれています。
そんなブロブフィッシュの水中での姿がコチラ!
あれ?ピンク色でもないし、顔に鼻もない…
この姿こそ、ブロブフィッシュの真の姿なのです。
ではなぜ、深海にいる時の姿と私たちがよく目にする写真の姿が全く違うのでしょうか。
ブロブフィッシュのブヨブヨとした体は筋肉がとても少なく、そのほとんどが水よりも密度が少ないゼラチン状の物質で構成されています。
水分が多く筋肉が少ない体のため、水中から陸にあげると水圧の変化に体が耐えられずドロドロに溶けてしまい、最終的には重力によって体全体がつぶれてしまうのです。
また、底引き網に偶然かかったものが発見されることが多く、引き揚げられる途中に柔らかい皮膚が網にこすれて裂け、剥けてしまいます。
私たちがよく目にするブロブフィッシュの有名な写真は、体がつぶれ、皮が剥けてしまっている時の姿というわけですね。
特徴的な鼻のような部分は、皮膚におおわれている時には目立たないだけなのです。
ちなみにこの鼻のような部分、鼻ではなく額の位置の皮膚が重力によって垂れ下がってきたものという説もあります。
ですが、実際にこの突起の前後には鼻孔があり、嗅覚を持っているともいわれています。
ブロブフィッシュは水分量の多い体のおかげで、泳がなくても海底面から体をわずかに浮かせることができ、厳しい深海の世界でも少ないエネルギーで生きていけるようになりました。
エサを食べている姿は確認されていませんが、海底に生息しているエビやカニなどの甲殻類を捕食しているのではないかと考えられています。
ブロブフィッシュはまだ調査が進んでいないため正確な個体数は把握されていませんが、漁船のトロール網(底引き網)にかかってしまうことがあり、現在は絶滅危惧種に指定されています。
ブロブフィッシュは食べられるの?味は?
ブヨブヨの体におじさんのような顔のブロブフィッシュ。
世界一醜い生き物と呼ばれるこの魚を食べてみたいという人が多いようですね。
実は地元の漁師さんは食べることもあるようで、その味は「非常に蟹に近い。蟹と比べても少し甘い」と概ね好評だということです。
一説では、ブロブフィッシュの主食がエビやカニといった甲殻類なので、自身もその味に近くなったのではないかと考えられています。
その他にも「淡白ながら臭み等はまったくなく、タラとアンコウの中間ぐらいの味」とも言われています。
また、とてもヌルヌルしていてさばきにくいんだとか。
見た目とは裏腹に美味しいのですね。
なんだかコラーゲンがすごそう(個人の意見です)。
こんな絶望的な表情でまな板の上にいられたら絶対に調理できない…
ちなみに、もし食べられる機会があったとしても私は食べる勇気ありません(笑)
ブロブフィッシュは絶滅危惧種に指定されていますので、ブロブフィッシュだけを狙った漁は行われていません。
ブロブフィッシュを見られる水族館はあるの?
ブロブフィッシュは深海の生き物なので飼育がとても難しく、生きたまま捕獲されることはほとんどありません。
ですが、静岡県にある沼津港深海水族館の底引き網で生きたまま捕獲され話題になりました。
捕獲されたブロブフィッシュは沼津港深海水族館に持ち帰り、あの手この手で飼育を試みたものの2日後には死んでしまったそうです。
やはり深海生物の飼育は簡単ではないのですね。
しかし生きたまま捕獲されたことは海外でも大注目されるなど、この時大変なニュースとなりました。
この死んでしまったブロブフィッシュ、実は新種かもしれないということで専門家の方に送り鑑定してもらうことになったそうです。
新種だったらすごいですよね!
新種であってほしい!
沼津港深海水族館では、「いつになるかお約束できませんが、”世界でもっとも可愛い“ブロブフィッシュを生きた状態で展示できるよう頑張ります。」とコメントを残しています。
また、福島県にあるアクアマリンふくしまという水族館の最新生き物情報では、2018年6月25日に更新されている記事でニュウドウカジカ展示中となっています。
現在も展示中なのかは不明ですので、興味がある方は問い合わせをしてから出向かれることをおすすめします。
アクアマリンふくしま
【住所】
〒971-8101
福島県いわき市小名浜字辰巳町50
【お問い合わせ】
電話:0246-73-2525
FAX:0246-73-2526
沼津港深海水族館~シーラカンス・ミュージアム~
【住所】
〒410-0845
静岡県沼津市千本港町83番地
【お問い合わせ】
電話:055-954-0606
FAX:055-954-0607
ブロブフィッシュのグッズがかわいい!
ブロブフィッシュのぬいぐるみやガチャガチャ等のグッズが、ひそかに人気を集めています。
何とも言えないあの表情に、多くの人が虜になっているのですね。
深海生物は最初に見た時こそ「うわ!なんだこれ」と思ってしまいますが、知れば知るほど、見れば見るほどはまってしまうものです。
深海生物の魔力のようなものを感じます。
ここではブロブフィッシュのついつい欲しくなってしまいそうなグッズを紹介したいと思います。
しんかいさんシリーズ ニュウドウカジカ X ブロブフィッシュ ぬいぐるみ 全長17cm
大きめのぬいぐるみなので、ブロブフィッシュを抱きしめたい方にオススメです。
Blobfish Plush
フカフカのぬいぐるみ。肌触りも良さそうです。
ハッシュタグ コレクティブル 巨大ブロブフィッシュ
ものすごく大きい!かわいい!
深海魚[キッチン雑貨]深海魚箸置き/ニュウドウカジカ
デザインがとっても可愛い!ご飯の時間がもっと楽しくなりそうです。
まとめ
ブロブフィッシュのお話はいかがでしたでしょうか?
私も初めは「なんだこの魚」と思っていましたが、今ではブロブフィッシュの顔も愛嬌があるように思えてきました。
皆さんもブロブフィッシュの魅力に気付いてくれたら嬉しいです。
他にも深海生物に関するいろいろな疑問や気になること、紹介してほしい深海生物などがいましたらお気軽にコメントしてくださいね。
これからも何か情報が入り次第、更新していきますのでよろしくお願いいたします。
最後までご閲覧いただきありがとうございました。