皆さんは、メガマウスザメという深海サメをご存知ですか?

メガマウスザメはその名の通りとても大きな口を持つ深海のサメで、その迫力は写真だけでも十分伝わると思います。

メガマウスザメの大きな口で丸呑みされたら…考えるだけでも恐ろしいですよね。

ですが、安心してください。

メガマウスザメは怖い見た目とは裏腹に、とても大人しい性格をしているのだそうです。

1976年にハワイのオアフ島沖で発見されてから現在まで、捕獲および目撃例は世界的に見ても極めて少なく「幻のサメ」としても有名になりました。

そして今では、メガマウスザメに関するある噂が広がっています。

それはメガマウスザメは地震の前に現れるというものです。

ここではメガマウスザメの生態や、地震との関係性などについて詳しくご紹介したいと思います。

メガマウスザメの生態と特徴について

メガマウスザメは、脊索動物門(せきさくどうぶつもん)ネズミザメ目メガマウスザメ科に属している深海のサメです。

体長4~5mにもなる大型のサメで、これまでに見つかった最大のものは全長7m9㎝です。

生息地は太平洋、大西洋、インド洋などの熱帯から温帯の水深200m付近のやや浅い深海だと言われていますが、発見例が少ないため、ある程度の想像や予想も入っていると考えられます。

ちなみに、全世界での目撃例や捕獲例をみても日本近海で発見されることが多いようです。

私たちが知らないだけで、日本の深海に多く生息しているのかもしれませんね。

出典:朝日新聞

メガマウスザメの見た目は他のサメと異なる点が多く、生きた化石と呼ばれているミツクリザメと並んで原始的な形態を残しています。

沖縄美ら海水族館を管理運営している一般財団法人「沖縄美ら島財団(沖縄県本部町)」と東海大学、北海道大学の研究グループが行ったメガマウスザメの解剖学的調査で、メガマウスザメの胸びれの骨格や皮膚に他のサメにはない特殊な構造があることが発見されました。

その研究結果から

  • メガマウスザメの胸びれには胸びれを支えるための骨格に非常に多くの関節があり、胸びれ全体がしなやかに曲がること
  • 胸びれの皮膚に弾性繊維が多く含まれており、皮膚の伸縮性が高いこと
  • 胸びれと胴体をつなぐ関節部分が蝶番になっており、頭尾方向によく動くこと

がわかりました。

このことからメガマウスザメの胸びれはとても可動性が高く、ゆっくりと泳ぐメガマウスザメの体を安定化させるバランサー的な役割も果たしている可能性が高いと考えられています。

2017年にはタレントであり東京海洋大学名誉博士のさかなクンがメガマウスザメと一緒に泳ぎ、ニュースになりました。

最大の特徴である大きな口は、他のサメとは違い先端が丸っこい形をしていて、鋭くとがった歯の代わりにヤスリ状の小さな歯が並んでいます。

出典:floridamuseum

また、あごの骨についている口を動かす筋肉がものすごく発達しているので、食事をする際には喉の皮膚を風船のように膨らませて大量の海水を口の中に含ませることができます。

その大きな口で何でも丸呑みしてしまいそうですが、メガマウスザメの主食は小さなプランクトンであり、海水と一緒にプランクトンを飲み込んで海水だけをエラから出して、プランクトンを濾しとって食べるそうです。

プランクトンを主食としているサメはメガマウスザメ以外にもジンベイザメやウバザメがいますが、ジンベイザメのように積極的にエサを吸い込んでろ過する摂餌方法とは違い、ゆっくりと遊泳しながらエサを口に流し込んでろ過するのではないかと考えられます。

ですが、実際の摂餌方法は確認されていないのでわかりません。

あくまでも憶測ということですね。

その他にも、他のサメにはない特徴として口の中に光を当てると銀色に輝くことがわかっています。

その光を利用してプランクトンなどをおびき寄せるのではないかと考えられていますが、これも現時点では確かめられていません。

メガマウスザメは、昼間は水深200mほどの薄暗い場所で過ごしていますが、夜になるとエサとなるプランクトンを食べるために水深20m前後の浅いところまで上がってきます。

夜の海でメガマウスザメに遭遇してしまったら、確実にトラウマものですね(笑)

メガマウスザメと地震の関係性は?

メガマウスザメが目撃された・捕獲されたというニュースが流れると、「地震が起きるのではないか」とSNSやBBSなどで話題になることが多々ありますよね。

メガマウスザメだけでなく、リュウグウノツカイやサケガシラなどの深海魚も地震の予兆といわれることが多いです。

メガマウスザメやリュウグウノツカイのような深海魚が目撃・捕獲されると地震が起こると言われるのはなぜなのでしょう?

その理由について調べてみました。

皆さんは「宏観異常現象(こうかんいじょうげんしょう)」というものをご存知ですか?

「宏観異常現象」とは、人間が見聞きしたものや動物の異常行動など、直感的に地震の前兆ではないかと思わされるような現象の総称です。

例えば、地震雲やナマズが暴れると地震が起きるという言い伝え、地震が起きる時には夜空が異常に明るい説など、様々な宏観異常現象があります。

出典:gravity.wiki

深海魚が目撃・捕獲されると地震の前兆というのも、この宏観異常現象の一種ということです。

深海魚と地震の関係性はないと考える専門家の方もいるようですが、宏観異常現象について研究を行っている学者の方も少なからずいます。

実際にメガマウスザメが出現した後で、大きな地震が発生したという事例も確かにあるのです。

ですが、日本で起こる地震の発生件数はメガマウスザメの出現頻度よりも圧倒的に多いので、全てのメガマウスザメの出現と地震の発生を関連付けようと思えば、簡単に関連付けることができます。

また、メガマウスザメの発見場所と地震の発生地にはなんの法則性もありません。

だからといって「メガマウスザメと地震は何の関係性もないのか」と言われれば、そういうわけでもありません。

サメの頭部にはロレンチーニ器官と呼ばれる微弱な電流を感知する器官があります。

出典:wikipedia

ロレンチーニ器官は100万分の1ボルトという極小の電位差を感知することができるため、動物が動くときにだす弱い電力も感知することができます。

サメのこの器官は地球上の動物の中で最もすぐれていると言われており、原始的な形態を残しているメガマウスザメにもこのロレンチーニ器官は存在します。

地震が起きる際には地下深くの地盤に亀裂が入ることでそこから微弱な電磁波が放出されていると考えられており、メガマウスザメはその微弱な電磁波をロレンチーニ器官で感じ取ってしまうため、その影響で方向感覚を失い、浅い海に迷い込んでしまうのではないかといわれています。

なんにせよ、海底に近い場所に住む深海生物が地盤のズレをいち早く感じ取り、異常行動を起こすということは不思議なことではありません。

地震と深海魚が全く関係ないと考えるのか、関係があると考えるのかはあなた次第です。

メガマウスザメが見られる水族館はあるの?

「幻のサメ」と呼ばれているメガマウスザメ、水族館などで見ることはできるのでしょうか。

結論からいうと、生きたままのメガマウスザメを飼育しているという水族館は世界中を探しても存在しません

メガマウスザメはまだ謎が多い生物なので、捕獲されても飼育方法がわからず、すぐに死んでしまいます。

そんなメガマウスザメを「どうしても見てみたい!」という方におすすめなのが、メガマウスザメの標本を展示している水族館です。

ここではメガマウスザメの標本展示を行っている水族館をご紹介します。


京急油壺マリンパーク(神奈川県三浦市)

京急油壺マリンパークでは世界で37番目に発見された全長5.7m、体重1.2tのメスの剥製を、骨格標本や学術解剖のドキュメンタリー映像とともに展示しています。
吹き抜けホールの真ん中で宙に浮いているメガマウスザメの剥製は迫力満点です。

【住所】
〒238-0225
神奈川県三浦市三崎町小網代1082

【お問い合わせ】
電話:046-880-0152

【公式HP】
http://www.aburatsubo.co.jp/


東洋大海洋科学博物館(静岡県静岡市)

メガマウスザメの雄と雌の両方の剥製が見られます。
公開解剖の映像と脳神経や脊椎骨、胃の内容物など公開解剖で得られた成果と共に展示してあり、雄雌で見ることができるのは東海大海洋科学博物館だけです。

【住所】
〒424-8620
静岡県静岡市清水区三保2389

【お問い合わせ】
電話:054-334-2385

【公式HP】
http://www.umi.muse-tokai.jp/


鳥羽水族館(三重県鳥羽市)

鳥羽水族館では、三重県度会郡紀勢町錦沖にて巻き網で捕獲された5m28cmのメスの剥製を展示しています。

【住所】
〒517-8517
三重県鳥羽市鳥羽3-3-6

【お問い合わせ】
電話:0599-25-2555

【公式HP】
https://www.aquarium.co.jp/


マリンワールド海の中道(福岡県福岡市)

出典:博物月報

マリンワールド海の中道には、全長4.7mのメスのメガマウスザメがホルマリン漬け標本になって展示されています。
水槽のパネルには、発見時や収容の際の写真やシンポジウムで発表された学術的な知見が載っており、「メガトット」という名前でキャラクター化されています。

【住所】
〒811-0321
福岡県福岡市東区大字西戸崎18-28

【お問い合わせ】
電話:092-603-0400

【公式HP】
https://marine-world.jp/


沖縄美ら海水族館(沖縄県国頭郡)

沖縄美ら海水族館に展示されているのは、ホルマリン漬けの標本です。
全長3.6mのメスで、なんと裏側は断面図になっていて内臓まで見ることができます。

【住所】
〒905-0206
沖縄県国頭郡本部町石川424

【お問い合わせ】
電話:0980-48-3748

【公式HP】
https://churaumi.okinawa/

まとめ

いかがでしたか?

標本のメガマウスザメ、どれも怖すぎますね(笑)

皆さんも迫力満点のメガマウスザメを見に行ってみてはいかがでしょう。

他にもメガマウスザメについての疑問や気になることがあれば、お気軽にコメントしてくださいね。

なにか情報が入り次第、記事を更新していきますのでよろしくお願いいたします。

最後までご閲覧いただきありがとうございました。